カニ食いに悔いが残ったパタゴニア
到着した翌日は良く晴れていた。海沿いを歩いてみる。「Punta Arenas」の文字碑の前には数組の観光客がいた。地面は凍っている。すり足気味に歩かないと滑ってしまう。7月に天然スケートをすることになるとは思いもよらなかった。
町には記念像がいくつかあった。マゼランを模したものもあった。無料で入れる美術館があった。かつてこの地にわたってきたオーストリア人の邸宅を開放している。町の雰囲気もそうだが南米にいる事を忘れてしまう。ドイツとかイギリスとか北欧とか…ラテン以外のヨーロッパの町にいるようだ。(そのへんにはあまり詳しくないが…)チリでは南へ行くほどラテン色が薄くなるよ気がする。
海鮮市場に行ってみた。南米の市場特有の活気はない。きれいな暖房付きの建物と整ったか前の店が数軒あるだけだった。セントージャという蟹が有名らしいが、丸ごと売っているわけではなかった。レストランに行けばカニ料理はあるようだ。めちゃくちゃ高かった。それにごちゃごちゃ手を加えたカニなどあまり食べる気がしない。茹でたやつをバリバリ食うのがいいのだ。この日はカニを諦めた。
丘の上にある展望台に上ってみた。町を一望できた。景色に感動することの少ない私。それでもこの瞬間は寒い中、丘を登った甲斐があったと感じた。町の中心では昨日の冬まつりの続きをやっていた。なんとも田舎町の冬という感じだった。寒いので宿に戻った。冬の山小屋?寒風の吹く海の家?そんな雰囲気が続いていた。WiFiがバイバイしていた。
次の日は月曜日だった。この日は是非行っておきたい場所があった。最南端のビール醸造所である。「Austral」というビール会社。到着した日に一本飲んだが美味い!中南米の薄めのビールとは違う、苦みに加えしっかりとした味がある。それでいて苦さがしつこくない。キレを感じる。私はビールに詳しくないがとにかく美味い。と思う。
昼前に「ソナ・フランカ」という免税ショッピングモールに行った。デカいスーパーとホームセンターが2軒ずつくらいあった。特に珍しいものもなく30分で引き返す。さあビールビールである。予約が必要か、料金はいくらか、などの情報は全くない。とりあえず行けば何とかなるだろうと思った。入口に辿り着いたときは午後2時。守衛のオッサンは3時まで待てと言う。玄関前で待っているとみぞれが降り出した。風もビュービュー。ほんでもって3時になっても玄関は開かんのです。もうアカン…と思ったとき。扉が開いた。ツアーガイド役の社員が来て4時から開始だという。とにかくストーブの近くに寄って、体を温める。ビールへのウォームアップである。
4時直前になってぞろぞろと人が集まってきた。どうやら予約なしでこの日は行けたようだ。他のブログでは「予約なしではダメ」「日によっては入れない」などの情報も流れていた。私の運が良かったのだろう。
このビールの歴史の解説。研究室訪問。
製缶ラインの見学。などを経て…
試飲でございます。
6種類ものビールが登場。空気を読んで何回も注いでくれるガイドさん。挙句の果てに彼自身も飲んでいた。果物っぽい香りがするモノ、黒ビール、6.1%アルコールというパンチの効いたモノもあった。いやはや満足である。
翌日、プンタアレナスを発つ前にセント―ジャはどーや?と思い、高くても味を確かめたくなった。どうやらグラタンみたいな料理しかこの日は無いらしい。さびれた市場のレストランに入った。
そのグラタンを頼んだ。チュペとかいうらしい。10分ほど待っただろうか。音がした。
「チーン」
耳を疑った。あろうことか子ども用のごとく小さな器のグラタンが電子レンジから出てきた。これで勝手にチップも取られ10000ペソ(約1500円)。二度と食べません。腹が立ったので写真も撮る気にならんかった。
まあカニやったら日本でも仰山食えますわね。関西やったら香住や間人。美味いもんは仰山ございます。
その後はタクシーを拾い空港に向かった。8000ペソ。特に高値を付ける気もないらしい。とぼけた運転手のおっちゃんでした。日本の商社の人らとかつては仕事をしていたとか…世界の果てでも日本の会社は有名でした。
カニ食いへの悔いは残ったが、プンタアレナスは良い町だったと思う。またいつか、今度は夏のパタゴニアを見てみたい。
さあサンティアゴ経由でペルー・リマに再上陸だ!