世界は狭い
ブルブル…
携帯が震えた。messengerアプリに着信だ。
「ハロー!センセイ!」
声の主はミクロネシア連邦ヤップ島にいた頃の友人二人。オーウェンとグリーノだ。
私が監督をしていた陸上競技チームに参加してくれていた選手たちだった。
二人とも変わったような。そうでないような…
オーウェンは今、ヤップ島から2000kmほど離れた首都の島(ポンペイ島)にいるらしい。
そしてグリーノ。おしゃれな迷彩柄の衣装を身にまとっている。
「Where are you?」と訊いてみる。
「Mexico!」とグリーノ。
???
正確にはメキシコとの国境の町アメリカ合衆国テキサス州エルパソにいるらしい。米軍に入ったそうだ。それで迷彩服を着ていたのか…ミクロネシア連邦国籍の人は米軍に入ることができるらしい。
私は国境の向こう側、メキシコ・グアダラハラにいる事を伝える。これからはグリーノとは時差を気にせず話すことができそうだ。
オーウェンには
「ミクロネシア連邦陸上チームの監督に、俺を再招聘するように伝えてくれ!」と頼んでみる。転職活動?離れてみるとあの南国の雰囲気も素敵だったと気が付いた。少しもどってみたい気もするのだ。
それにしても、インターネットとは便利なもので、これだけ離れた場所にいる三人の映像通話を可能にしてくれる。
そして、不思議な事も起こるもので、遠くに離れたと思っていても、結構近くにいたりする。
何よりうれしかったのは、2年間離れていても、私のことを思い出してくれたこと。連絡をくれたことだ。当時は、私の考えを上手く伝えられず、衝突もした。それでも、これだけ時間的・空間的に離れていても、私と通話してくれる。
彼らの心の中に残ることができた。それだけでもミクロネシアで過ごした意味があった。そう思うのだ。
いつの日か、このコロナウイルスが落ち着いたら、彼らに会いに行きたいと思う。世話になった人たちに会いに行きたいと思う。
感謝です。