リマの競馬
「Jockey Club」
グーグルマップに移ったその文字に興味津々だった。そして地図上には競馬場のコースが映っている。昔から競馬のファンである。馬券はほとんど買わないがファンである。テイエムオペラオーの引退式、オルフェーヴル最後の有馬記念…いろんな情景が思い出された。
行くしかないやろ!
競馬場はリマ市の東側に位置している。とりあえずその方向に走るバスに乗ってしまおう。途中で乗り換えた。2本目のバス、車掌の兄ちゃんに「ジョッキー!」と伝えた。うなずいている。これで目的地まで行ける。はず。
競馬場に着いた。
特に物音もせず、静かなものだ。大きな野外ホールが併設されている。そこで行われているサーカスとコミックフェスタの方が人気のようだ。
ホンマに開催日なんか?
そう思って競馬場らしきとこの門をくぐった。壁にはレースの写真が!一気にテンションが上がった。コースはダートが外、芝が内のアメリカ合衆国式。昼間からビールを飲んでにやにやするおっちゃん。タバコ片手に新聞とにらめっこするおっちゃん。ゴール前しゃがれた声で「バモス!バモス!(行け!行け!)」を連呼するおっちゃん。どこまでも競馬場だった。
第1競走はテキトーに単勝1本勝負(3ソル=約100円)。見事に散りました。第2競走は静かに観戦。どこか地元に帰ってきたような雰囲気でリラックスしてしまう。
そして迎えた第3競走。SAKURAなる馬名が新聞に踊っている。これは買うしかないでしょう!咲け咲けSAKURA!
馬券売り場のおばちゃんには
「SAKURAってどういう意味?」
と質問された。
「セレッソ(桜)やで!」
と答えておいた。今回は中国人ではなく日本人と思ってもらえたらしい。
そしてレースはスタート。適当にしか買っていないし、馬券を当てにはしていなかった。実況も早口のスペイン語でよくわからん。気が付けばレースはゴール前、一頭の馬が内から伸びてきた。
「サク―ラ!サク―ラ!!」
となりのお兄ちゃんが叫んでいた!
勝った!さくらさんグラシアス!!!
オッズは4倍だったらしい。残りのレースは静かに応援だけし、雰囲気を味わって帰路についた。世界の競馬場を回るんもええな…と思った。
さあ、そろそろ帰宅だ。