そんなのアリカ?
あまりのんびりとしていたくは無かった。目前に迫ったチリ。この旅の目的はチリまで行けるか!?というそれだけ。できる限り南へ!という希望もあるが…
アレキパの街はとてもきれいだった。宿も500円強でとても親切。周辺の雰囲気も良い感じだった。もう1,2泊くらいしたい気持ちがあった。だが旅の目的を達成してしまおうと決めた。宿を朝8時に出発。どうやら旧市街からバスターミナルまでは路線バスがあるらしい。タクシーの10分の1の運賃(1ソル=約30円)で行けるという。バスにします!
バスの終点に着くと、車掌が「あっちや!」とバスターミナルの方向を口にした。周囲には地元民の集う市場。生きたままの鶏やウサギも売っており、生命力を感じる市場だった。路線バスの終点から長距離バスターミナルが見えなかったので不安だった。でも市場の人も皆、「ターミナル?あっちやあっち!」と異口同音に言う。信じて歩くとバスターミナル。ここでFlores社というバスを選択。タクナという国境の町まで25ソル(約800円)だった。ここから6時間ほどの旅がまた始まる。
途中、何度か検問があり、砂漠のど真ん中で降ろされる。なんとも物悲しく周囲に何もない検問所。そこでもジュースや軽食を売る人はいる。ホンマどこに住んではるんやろ?
ひたすら砂漠を走り続け、国境の町タクナに到着。ここのバスターミナルにはチリ側の国境の町「アリカ」へ抜けるバスが沢山停まっている。加えて乗合タクシーも客引きいや客奪いに必死のパッチ。ワタクシ当然安あがりのバスを選択。12ソル(400円)だった。これでチリまで行ける!
まずバスに乗る前に車掌にパスポートを預けなくてはいけない。これはなんともおっかない。バスには息をするのもしんどいほどの人数が詰め込まれる。私は運転手の横の窓枠に座ることになった。
この人いきれに紛れて私のパスポートがどっかにいってしもたらどないしよ!と不安で不安で…ビビりですね。バスが動き出してから車掌がちゃんと乗っていて、旅券を抱えていたのを一安心。ただ時折となりのオバちゃんに大勢の旅券を預けジュースを飲んだり、ゴソゴソしたりと、最後まで大切には扱ってもらえない旅券の運命。
30分弱走り続けてようやく国境に到着。バス内の熱気で息苦しかった。そこからの解放感が何より清々しい。出入国の検査は特に問題なく終わった。ただここでもベネズエラ人には長めの検査が待っていた様子。なんとも複雑な心境になった。
さあ最後の訪問国だ。
国境からさらに30分ほどバスは走る。アリカの町に着いた。道路が碁盤の目状に張り巡らされている。宿までの位置関係がわかりやすい。
小腹がすいた。売店でエンパナーダを買った。1000チリペソ(約160円)。耳を疑った。エクアドルやペルーの3倍近い値段。これがチリの物価水準。もう無駄遣いはできない。財布の紐も腹周りも引き締めなくては…
宿は静かな住宅街にあった。犬が元気で部屋中がこの生命体のにおいに満ちている。台所の使用や宿への出入りに時間制限はなく、各々が気楽に過ごしている宿だった。ただ一泊の値段は10ドルを超える。これがチリの相場なのか。ここには一泊のみで先へと急いだ。次の目的地はイキケだ。